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コラム【しつけ・飼い方について】一覧

しつけ・飼い方について
執筆者:久山 昌之
(東京都・豊島区)

臨床検査は、動物との会話だと思います。
問診と一般的な身体検査から始まり、その状態から仮の診断や必要な検査・治療法を検討します。
この時、以前にも書きましたが、動物には症候が見つけにくい、症状を隠してしまう、Dog Speed、お話ができない、という特徴があり、これが判断に大きく影響を及ぼすことになります。
もちろん、問診を詳しく行うことである程度はフォローできますが、人のように詳しく本人の状態を本人の口からお聞きすることはできません。
こんな時、検査がこの会話の代わりをしてくれます。
こちらからの質問が、採血であったり、レントゲンを撮る事、返事の言葉をもらう代わりに検査の結果をもらう、ということです。
 
 また、どこが、何が、どのくらい辛い思いをさせてしまっているか、または今僕らが気づいていない苦痛や辛さが存在しないか、どうすればそれを取り除いてあげられるか、この判断をするための情報が得られることが検査でもあります。

 合わせて、問診や触診、聴診、視診などの五感を使った診断によって得られた結果を、評価や証明するのも検査の1つの意義であり、考察や検討の重要な要素ともなります。
 
 ただし、検査はただ行えば良い、ということではありません。
検査は検査前から始まり、検査後も続いている、と僕はよく話します。
検査を行うに当たって、最低限の必要な検査を選択する事が一番重要で、闇雲にあるいは当てずっぽうに検査項目を増やしても、的確なものを行っていなければ意味がなく、根本的に本当に検査が必要なのか、必要であればどんな種類の検査が必要なのか、その項目は何を選ぶのか、動物に対して負担や危険はどの位あるのか、費用はどの位かかるのか、結果からどのくらいの病気の鑑別や検討が出来るのか・・・、など検査前から考え考察し、検討することは山ほどあります。
しかもこれらを実施するには、問診や身体検査を正しく細かくしっかりと行っている事が前提なのです。
そして得られた結果の考察、追加の検査の有無、結果に対する解釈と今後の診療への役立て方・・・、検査が終わってもまだまだやらなければいけないことは山積みです。
 
 例えば、骨折で肢が痛い動物には、その状況と症状の問診、視診や触診、関節や筋肉、靭帯などのチェック、神経反射などをまず診ます。
ここまでで、ある程度の病気の絞込み(類症鑑別と言います)を行います。
この時、どれだけたくさんの病気を考えて、その中からどれだけ絞り込めるか、医師の腕にかかってくるわけです。
万が一、この絞込みに骨折という項目が入っていなかったら、診療は誤った方向に行ってしまいます。
骨折の場合は、普通ここまでの診察で仮の診断はできますが、細かい部分の病状や骨折の状況、その他の評価にはレントゲン検査が必須です。
ここで、この検査をもし選択しなかったら、最悪骨折に気づかない、なんてこともあるかもしれません。
的を得た問診や身体検査を行い、的確な検査の項目を選択し、極力負担のかからないように検査を実施し、結果をしっかり読み取り検討すること、これが鉄則です。
 
 検査には、いろいろな目的と方法、種類があります。
目的だけで分類しても、健康診断や軽い症状、単なる疑いを判断するための検査、病気はある程度わかっているが他の基礎疾患や合併症を見つける検査、類症鑑別のための除外検査、治療効果や病状、副反応を判断する検査、予後を予測するための検査、治療法の選択をするための検査、身体に何が起こっているかまったくわからずに行う検査など。
基本的には、病気が進行する前に、治療を行う前にある程度の検査をして、初期情報を少しでも多く早く得ることが勧められます。
病気が進行してしまったり、治療を行ってしまうと、病態はさらに変化してしまい、始まりが何かわからなくなってしまうからです。
この結果から、さらに必要な検査や項目があればその検討を行い(必要性や負担、経済的な問題など)、診断を進めていくわけです。

 例えば、山を頂上から下るとしましょう。
山の天辺は細くて尖っています(初診)。
徐々に裾野に向かって斜面は広くなっていきます(問診や身体検査)。
場所によって道は分かれ(検査などの選択)、斜面が広くなるに従い道筋も増えていきます(結果の考察)。
同じ麓(診断)に向かう道でも、いろいろなルートが出来上がります。
それぞれの道には、それぞれの石や砂、樹木や花が咲きます(体調や病状の変化、種々の事情など)。
そして麓の目的地(診断)にたどり着きます。
出来るだけ早く、優しく、楽に迎える道を探しながら。
でも、ここはゴールではありません。
自宅(完治)に向かってまた道や手段(治療)を考えなければいけません。

 もちろん、高齢であったり、病状があまりにも重く負担が大きい場合、お金をあまりかけられない場合、病状や病気の種類によっては、検査を行わず診療を続けることもありますし、治療の効果を診てから検査を検討することもあります。
要は、しっかり考え、相談してこれを行うべきだと言うことです。
 
 また、病状が重い場合や慢性疾患である場合になぜ検査項目が多くなりやすいかと言えば、検査はそれぞれ目的や方法が違っても、その身体の状態を知るというひとつの目標に向かって行うものだからです。
ひとつの検査の結果から考えるよりも、いくつかの検査の結果を合わせてみることで、いろいろな事や細かい事、それぞれの弱点を補う結果を得ることができます。
いろいろな検査を組み合わせることで、さらに的確かつ正確な結果を得て、診療に反映させることができます。
 
 例えば、心臓の検査。
問診にて心疾患を疑う場合、聴診にて心雑音や不整脈が聴取された場合、検査を検討します。
まず、血液検査にて肝臓や腎臓の機能(合併症の有無)や心臓から分泌されるホルモンを測定して心臓への負担をチェックします。
あわせて、レントゲン検査にて、心臓や肺の陰影(心拡大や肺水腫など)、腹部臓器の状態を診ます。
これらのチェックの際には、心疾患以外の病気も考え、合併症だけでなく鑑別も行います。
ここで、心疾患の可能性が診られた場合、心エコー検査や心電図検査を考えます。
レントゲンで心臓の拡大が見られた場合、ごく簡単に言うと心臓が大きいことはわかりますが、心臓の筋肉が厚くなっているのか、心臓の内腔が拡大しているのか、これはレントゲン検査では鑑別できません。
また、心疾患の大きな原因のひとつである弁膜症も、ある程度の所見から推測はできますが、弁の状態はわかりません。
ここで、心エコー検査を行うことでそれらの不足が補えかつ診断がより精度が増すことになります。
また聴診上異常がなくとも、重篤な不整脈やその傾向、心臓の細部の機能を評価するには、心電図検査も有用です。
さらに、造影検査なども行うことができますが、こちらは侵襲を伴う検査のため必要性を考慮するべきでしょう。
 
 検査を実施するに当たって重要な事は、
1)検査は極力少ない項目で行う、中途半端な実施はしない、
2)実施する場合、侵襲の少ない検査を心がける、ということです。

 検査は、大きく分けると侵襲性と非侵襲性の2種類に分けられます。
身体の負担が大きい、小さいの差です。
ただし、あくまで負担を小さくしたいという観点から気にしているもので、大きな負担のかかる検査、致命的なものや激しいものについては再考の余地があるのは当たり前です。
 
 人医領域では、非侵襲性に分類される検査であっても、動物が相手であれば、完全に非侵襲性の検査はないのかもしれません(その子の性格にもよりますが)。
基本的には、血液検査やレントゲン検査、心電図検査、超音波検査、アレルギー除去食検査などが非侵襲性検査と言えるでしょう。
軽度の侵襲があるものは、一部の造影検査、負荷試験などが当てはまります。
侵襲性検査は、生検やCT/MRI検査、一部の造影検査、脊髄液検査、肺胞洗浄などがあげられます。
 
 ただし、看過してむしろ後々苦しめる可能性があるならば、多少の侵襲は覚悟の上で検査を行ったほうが良い場合も多いです。
 
 検査項目を少なくすることにこだわりすぎ、必要なものまで省くことには注意しなければいけません。
検査が意味のないものになりかねません。
また、病状によっては、無駄とわかっていても診ておかなければいけない場合やたくさんの情報が必要な場合もあります。
例えば、原因不明の疾患や免疫介在性疾患、アレルギー、癌などの患者さんです。

 検査は良いも悪いも行う側の姿勢や技術によるものが多く、その点は重々留意する必要があります。

 もし1つしか診察する手段がなかったら何を選ぶか、仲の良い獣医師と話したことがあります。
答えは同じ、「問診と五感を使った身体検査!」そうこれに勝るものはありません。
絶対にこれ無しでは診療は出来ません。

 
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